2022年10月10日月曜日

フルクローンとリンククローンの違い(おさらいパート1)

私がリンククローンを導入した8年前、vSANのバージョンで言うと1.0でしたが(めちゃくちゃアーリーアダプターです(笑))
当時、サーバの仮想化は一般化してきましたが、電子カルテに代表される病院情報システムに関しては、まだ、仮想環境導入を見送る病院が多くある時代でした。vSAN×リンククローンで電子カルテを運用させてたのはおそらく当時はうちだけだったはず…

仮想デスクトップの仕組みはすべてのI/O実行環境がサーバ側にアクセスが集中するため、ストレージI/Oが高くなり、その負荷を吸収する大規模な共有ストレージが導入時の大きな課題となっていたのが大きな問題かと思います。





















当院では、ローミングプロファイルを活用することでリンククローン方式での導入を実現し、VDIに必要なストレージの絶対容量を低減すると共に、ストレージの仮想化技術を取り入れることで、ホストサーバに内蔵した高速なSSDを効果的に活用することができ、ログオンストームや電子カルテ使用におけるピーク時のI/O負荷にも十分に対応可能なストレージパフォーマンスを低コストで確保することを目指しました。方式の違い、手法についての当時の概要をおさらいとして説明させていただきます。

VDI基盤を構成するホストサーバの台数は3台で、マスターイメージとなる1つの仮想マシンを読み取り専用で共有利用するリンククローン方式での運用を採用することで、仮想デスクトップの高効率な実装と素早い展開を可能にすることを目指しました。仮想ストレージは、各ホストサーバに内蔵されているSSDやHDDなどのローカルディスクを仮想的に束ね、単一の統合データストアとして利用するものです。自動的に仮想ストレージデータストアとして各ホストから認識でき、単純にホストサーバを増設するだけで、共有ストレージの容量やI/O性能をスケールアウトすることが可能になります。
















まず、マスターテンプレートを1台ずつクローニングしていくのがフルクローン方式となります。
フルクローン方式は、マスターイメージとなる親仮想マシンの複製であるクローンを展開する方法です。台数分だけのディスク容量が必要となるので物理PCと同様の考え方となります。






















次に、リンククローン方式の場合は、複数の仮想デスクトップを用意すると利用前のOSの状態は同一のイメージを利用します。その後、利用状況に応じてユーザーごとにデータが作成されマスターテンプレートとの差分が発生することになります。
そこで、OSイメージはマスターとして1つにまとめてしてしまい、差分だけをユーザーごとにデータを保持するのがリンククローン方式となり同機能を用いることで、ストレージの容量を大きく削減することが可能になり、コストメリットが得られるように構成しました。





























リンククローン方式でのVDI基盤では、更新(Refresh)、再構成 (Recompose)、再調整 (Rebalance)というタスクが発生するので、どのタイミングでどのアクションを選ぶのかの調整が重要になります。更新(Refresh)は仮想デスクトップ環境を初期状態に戻す処理を指していますが、当院では、病棟部門へのヒアリング調査によりセッションが切断されてから、5分使わなければ更新(Refresh)しても運用に問題ないというデータが得られたのでそのように設定を行いました。
 これにより、未使用のデスクトップは定常的にクリーンな状態となり、余剰な差分ディスクによるストレージ消費を防止するとともに、次の利用者がすぐに接続できる状態を維持できています。
また、プリンタドライバの追加や電子カルテのクライアント側のパッチ、プラグインなどの追加の場合は、マスターのみに追加のコンポーネントをインストールし、再構成 (Recompose)することで、すべての仮想デスクトップに差分を展開することが可能となります。
























それでは、今回はこのあたりで。
次回、パート2はディスク容量やIOについておさらいしていきたいと思います。
今回もお付き合いいただきありがとうございました。